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6価クロムの対応 |
クロムめっきは、6価クロム浴(クロム酸)に品物を陰極に吊るし直流の電気を通して
電気分解により、6価クロム(Cr⁶⁺)を金属クロム(Cr⁰)として 品物に皮膜析出させます。
一方、亜鉛めっきの後処理として用いられている6価クロメート処理は、めっきの耐食
性を飛躍的に向上させますが、僅かながら6価クロムが残留するため、環境問題として
提起されました。 その後、6価クロムを含まない3価クロメート処理の切り替えが進み、
「6価クロムフリー・クロメート処理」と称していました。 しかし、いつの間にか短縮され
「クロムフリー」と呼ばれるようになりました。
この「クロムフリー」がクロムを全く使わない意味と誤解され、クロムめっきや金属クロ
ムまで毒性視されてしまい、いずれはクロムめっきも使用中止に至るものと誤解する人
が増えてきました。 確かにクロムめっきでは6価クロムを含むめっき浴を使いますが、
めっき皮膜は金属クロムであり、6価クロムではないので毒性もまったくありません。
クロムめっきが腐食すると6価クロムが生成するのではないかと心配する人がいます
が、腐食すると3価クロムになります。 この3価クロムは環境規制物質には含まれておら
ず毒性はありません。 また、クロムめっきの皮膜には組織として微細なクラックがありま
すが、この中の残留6価クロムはめっき後の洗浄で完全に除去が可能です。
したがってRoHS指令及びELV規制において、クロムめっきの電気・電子機器、自動車
部品への使用は規制の対象とはなりません。
グリーン調達の名のもとに、工場での有害物質使用を問題視する風潮までありますが
製品を作るための原料や製造工程などで有害物質を取り扱っていることは社会的に広
く認知されています。 肝心なことは、めっき工場における有害物質(6価クロムなど)の安
全管理や事故発生の徹底を図ることです。
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